公益社団法人 日本作曲家協会会報 No.198

グランプリ曲決定!

そして3月26日、日本作詩家協会・日本作曲家協会合同のソングコンテスト委員会と日本コロムビア(株)渡辺浩之プロデューサーによる選考の結果、「たんぽぽだけの花屋」(作詩・氏原一郎)、「FLY〜旅立ち〜」(作詩・沙木実里)の2作品が最優秀作詩賞に決定。
この2編の詩を課題詩として4月20日から当協会会員のみならず広く一般からも作曲募集を行いました。
「たんぽぽだけの花屋」会員・102作品、一般・83作品。「FLY〜旅立ち〜」会員・105作品、一般・86作品。合計376作品の応募がありました。
6月25、27日の両日、当協会会議室において、笹森文彦(日刊スポーツ)、清水 満(産経新聞)、田家秀樹(音楽評論家)の3氏に審査員を依頼。「たんぽぽだけの花屋」会員・8作品、一般・5作品。「FLY〜旅立ち〜」会員・8作品、一般・5作品を選び、最終選考は日本コロムビア・渡辺プロデューサーと制作スタッフにより行われました。
その結果、最優秀作曲賞には「たんぽぽだけの花屋」は会員の山田恵範氏に、「FLY〜旅立ち〜」は一般から応募の藤井和男氏に決定しました。
そして、日本コロムビアにおける編成会議の結果、山田恵範氏作曲の「たんぽぽだけの花屋」がメイン曲に決定しグランプリに選ばれました。
◆グランプリ | ||
「たんぽぽだけの花屋」 | 作詩:氏原 一郎 | |
作曲:山田 恵範(会員) | ||
◆最優秀作曲賞 | ||
「FLY〜旅立ち〜」 | 作詩:沙木 実里 | |
作曲:藤井 和男(一般) | ||
◆優秀作曲賞 | ||
「たんぽぽだけの花屋」 | 平山 むつみ、杉本 バッハ、Deep 寿 | |
鐘ヶ江 良子(一般からの応募) | ||
「FLY〜旅立ち〜」 | かや こうじ、岸田 妙子、Deep 寿 | |
福留 順一(一般からの応募) |
「日本作曲家協会音楽祭・2019」出演歌手決定
10月7日(月)、北区・北とぴあ さくらホールにおいて行われる「日本作曲家協会音楽祭・2019」の出演者が下記のとおり決定しました。今回も「日本作曲家協会音楽祭・奨励賞」「日本作曲家協会音楽祭・3賞」に併せて、目覚ましい活躍で歌謡界をリードする歌手に「日本作曲家協会音楽祭・特別選奨」を授与し、ステージを飾ってもらうことになりました。
◆日本作曲家協会音楽祭・特別選奨◆

山本譲二 (テイチクエンタテインメント)

坂本冬美 (ユニバーサルミュージック)
◆日本作曲家協会音楽祭・奨励賞◆

(日本コロムビア)

(テイチクエンタテインメント)

(ビクターエンタテインメント)

(日本クラウン)

(徳間ジャパン)
◆ベストカラオケ賞◆
◆有線大衆賞◆
◆ロングヒット賞◆

(キングレコード)

(ビクターエンタテインメント)

(ユニバーサルミュージック)
◆ソングコンテスト・グランプリ曲発表◆
グランプリ
「たんぽぽだけの花屋」


山田恵範(大阪)
私はギタリストとして活動し作曲編曲をしております。作曲時に心掛けていることは、詩の内容をいかに活かすか、歌手の方の雰囲気を大事にするにはどういうメロディーラインがふさわしいか、そして個性が発揮し易いかなどを念頭に置いています。

選考にあたって
日本コロムビア株式会社コロムビアレコード制作部
渡辺浩之

「たんぽぽだけの花屋」、「FLY〜旅立ち〜」ともにグランプリになった作曲は、詩がとてもよく聞こえて口ずさみやすいフォークタッチのメロディーでしたが、詩の世界観を考えて、「たんぽぽだけの花屋」はシンプルなJ-POP的な今風のアレンジに、「FLY〜旅立ち〜」は思い切って合唱曲アレンジに挑戦してみました。ともに印象的な作品に仕上がったと思っています。
作品の選考にあたっては、長時間にわたり審査員の皆様方が応募作品を真剣に選考している場に同席させて頂きましたが、非常に身が引き締まる思いがしましたし、よりいっそう頑張らなければならないという気持ちになりました。
今回は、このような機会を頂き、作曲家協会、作詩家協会の皆様に心より感謝申し上げます。ありがとうございました。
☆レコーディングスタジオにて☆





ソングコンテストグランプリ2019寸評
日刊スポーツ新聞社 笹森文彦
ソングコンテストグランプリの対象歌手は、昨年の川中美幸さんや城之内早苗さん、大月みやこさんら演歌系の歌手が多かった。クミコさんといえば、シャンソンはもちろん、「INORI〜祈り〜」のような社会派のイメージも強い。今回の課題詩の「たんぽぽだけの花屋」と「FLY〜旅立ち〜」は、ともにメッセージ性の高い詩で、クミコさんがどんなメロディーで歌うのか、とてもワクワクした気持ちで審査した。
協会会員の作品を審査していて、2点を強く感じた。1つは無意識のうちに内在する自分特有の音の配列から抜け切れていない。もう1つは逆にそれを脱却しようと奇をてらったような作品もあった。対象歌手で、作曲がいかに難しいかを感じる審査だった。
原作(詩)、主役(歌手)が決まっている。すべては言葉に乗る音に委ねられる。詩に隠された情景を読み解き、そして主役の個性を最大限に引き出す。そんな音を紡ぎ出す作業は醍醐味であろう。今回主役となるクミコの歌唱には魅せられる。しっとりとした優しさを調べのように歌い、時には激しくもあり、まるでドラマのように聴かせる歌唱はまさに“演技力”。それを創造する。
「たんぽぽだけの花屋」は、素朴で可憐な花を題材に、生き抜くたくましさを描く叙情詩である。詩は少々長い。“たたみの難しさ”に苦労する姿が見えたが、ドキッとさせられた音にも出合った。グランプリは新たなクミコ像を醸し出す作品になるかもしれない。
歌い手がクミコさんと聞いた時にこれまでとは違うという期待が生まれた。シャンソンを下地にどんなスタイルの曲でも歌いこなしてしまう実力派。作曲家にとっては腕の見せ所だったのではないだろうか。
「たんぽぽだけの花屋」は、“花屋と旅人”というロマンティックな設定。「FLY〜旅立ち〜」も母親と息子というヒューマンな関係。ともに“会話”というのが共通している。どこまで曲で語りかけられるか。情感をどこまで抑制しつつ表現するか。最優秀賞の作品は、そのバランスが優れていたように思う。優秀賞に入った曲のように、女性の方の曲に好印象のものが多かったのも頼もしく思えた。
今年も楽しませて頂きました。ありがとうございました。